準3級日本史
例題
太平洋戦争の敗戦までの日本はいくつかの植民地を支配していたが、それらの植民地について述べた【A】〜【C】の文章を読み、あとの問いに答えなさい。
【A】 この地は、日本が他国の勢力圏にさせまいとしたために、(a)二度の戦争の原因となり、1910年に日本が併合した。日本は総督府を置いてこの地を統治し、土地調査事業をおこなって多くの土地を接収した。(b)1919年には日本の支配からの独立を求める運動が盛り上がった。
第二次世界大戦のころになると、統治は一段と厳しくなった。この地は、日本の敗戦により独立を回復したが、米ソの対立のため国土が南北に分断された形での独立となり、この両国が(c)1950年には戦争に突入し、アメリカ軍を中心とした国連軍と中華人民共和国の義勇軍も参戦した。
問1 下線部(a)に関連して、この二度の戦争の組み合わせとして正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 日露戦争・第一次世界大戦
- 戊辰戦争・西南戦争
- 第一次世界大戦・日中戦争
- 日清戦争・日露戦争
問1
正解 4
【A】の文章は朝鮮をさす。日清・日露戦争ともに朝鮮半島の支配権争いが発端で、朝鮮半島も戦場になった。
問2 下線部(b)に関連して、この独立を求める運動の名称として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 甲申事変
- 五・四運動
- 三・一独立運動
- 盧溝橋事件
問2
正解 3
三・一独立運動は、民族自決の国際世論が高まるなかで、1919年に発生した朝鮮における独立運動をいう。
問3 下線部(c)に関連して、この戦争が日本におよぼした影響について述べた文として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 在日アメリカ軍がこの戦争に出動したことを契機に、警察予備隊が編成された。
- 国連平和維持活動(PKO)に日本の自衛隊も参加するようになった。
- この戦争をきっかけに、日本で原水爆の禁止運動が盛り上がった。
- 石油危機が起こり、高度経済成長が終わった。
問3
正解 1
この戦争は朝鮮戦争(1950〜53)のことをさしている。この戦争で、日本はアメリカを中心とする国連軍の出撃・補給基地として機能し、アメリカは日本の再軍備政策などを強引に展開した。また、日本はこの戦争によりアメリカ軍から膨大な軍備品の注文を受けて(朝鮮特需)、景気が好転し、これは高度経済成長へとつながっていった。
【B】 この地は、(d)日清戦争によって日本に割譲され、日本の最初の植民地になった。当初、原住民の抵抗は激しかったが、日本はそれを武力で鎮圧しつつ、同時に住民を懐柔してこの地の開発を進め、主に( ア )の生産をおこなって利益をあげた。 日本の敗戦後、この地は中国に返還されることになったが、内戦で中国共産党に敗れた蒋介石の率いる中国( イ )がこの地に逃れてきて支配下におき、今なお中華人民共和国との間に大きな問題を抱えている。
問4 下線部(d)に関連して、日清戦争によって日本がこの地のほかに獲得したものの、直後に三国干渉にあって中国(清国)に返還せざるを得なかった領土の名称として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 樺太
- 香港
- 琉球王国
- 遼東半島
問4
正解 4
三国干渉を受け入れざるを得なかった日本では、「臥薪嘗胆」をスローガンに、ロシアを仮想敵国として軍備拡張が進められた。
問5 空欄( ア )に当てはまる産物の名称として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- コーヒー
- こうりゃん
- 砂糖
- 煙草
問5
正解 3
【B】の文章は台湾をさす。台湾では台湾製糖会社が設立されて、大規模な砂糖の生産がおこなわれた。他にバナナや木材などが生産された。
問6 空欄( イ )に当てはまる語句として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 共和党
- 国民党
- 社会党
- 自由党
問6
正解 2
中国国民党は孫文によって1912年に結成され、孫文没後は政争を経て蒋介石が主導権を握り、1928年には中国を中華民国として統一した。
【C】 この地に日本がはじめて権益を獲得したのは日露戦争に勝利した結果で、日本は旅順・大連の租借権と、長春以南の( ウ )とその附属の利権とを獲得した。
その後1931年に日本は柳条湖事件を口実として満州事変を引き起こし、この地全体を占領して(e)日本の傀儡国家である満州国を建国した。日本国内ではこの地の開発に対する期待が高まり、多くの人々がこの地に渡っていった。
しかし、日本が太平洋戦争に敗北する直前、この地に( エ )軍が侵攻してきた。このため、この地に渡っていた日本人に多くの犠牲者が生じることになった。
問7 空欄( ウ )にあてはまる語句として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- 運河
- 鉄道
- 発電所
- 油田
問7
正解 2
【C】の文章は満州(中国東北地方)をさす。ロシアがシベリア鉄道の支線として建設した路線(東清鉄道)の一部を獲得した日本は、南満州鉄道株式会社(満鉄)を設立して、この権益の経営にあたった。
問8 下線部(e)二関連して、満州国について述べた文として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- アメリカは、この国を承認した。
- この国は、米を生産して日本に輸出した。
- 国際連盟は、この国に調査団を派遣して日本の主張を認めた。
- この国の執政として、清朝最後の皇帝溥儀が就任した。
問8
正解 4
1.日本以外の国はほとんど満州国を承認しなかった。2.満州の地は寒冷で米の生産には適さなかった。3.国際連盟が派遣したリットン調査団は、日本に撤兵を求めた。
問9 空欄( エ )にあてはまる語句として正しいものを、次の1〜4のうちから一つ選べ。
- ソ連
- 韓国
- アメリカ
- 中国
問9
正解 1
1945年8月8日、ソ連は、ヤルタ秘密協定を理由に、日ソ中立条約を無視して日本に宣戦布告した。
問10 【A】・【B】・【C】の文章がさしている地域を次の地図中のI〜Vから選び、正しい組み合わせとなるものを、あとの1〜4のうちから一つ選べ。
- 【A】−I 【B】−IV 【C】−III
- 【A】−II 【B】−V 【C】−I
- 【A】−III 【B】−IV 【C】−II
- 【A】−IV 【B】−V 【C】−I
問10
正解 3
I は樺太、V は第一次世界大戦後に日本の委任統治領となった旧ドイツ領の南洋諸島である。